ベンチャー企業とシェア拡大
事業が一定の軌道に乗り、ある程度の固定顧客も増えてきている中で
営業マネジメントを悩ませているのは、シェア拡大の戦略ではないでしょうか。
営業メンバーの育成体制や、営業の効率化が整ってきてはいるが、
なかなかシェアの拡大に至ってないという悩みも多く伺います。
今回は、改めてシェア拡大のための戦略として
「ランチェスター戦略」を再考してみたいと思います。
ランチェスター戦略とは
故田岡信夫氏により提唱された日本における戦略論のバイブルとされています。
起源を簡単に説明すると、
イギリス人の航空工学の研究者F.W.ランチェスター(1868〜1946)が
第一次世界大戦において提唱した
「ランチェスター法則」(=「戦闘の法則」)をもとに、企業の経営戦略論へと進化させたものが
「ランチェスター戦略」となります。
パナソニック、武田薬品などの大企業から、ソフトバンク、エイチ・アイ・エスなどの
当時の急成長ベンチャーまで名だたる企業が活用しています。
ランチェスター法則とは
戦闘方法が機関銃や航空機などの近代的な兵器が登場したこともあり
新たな戦闘方法の勝ち負けの法則を理論化したもの。
- 一騎打ちの法則=戦闘力=武器の能力×兵力 (騎馬兵同士で戦う戦闘を想定)
- 確率戦の法則 =戦闘力=武器の能力×兵力² (機関銃同士で戦う戦闘を想定)
ランチェスター法則を戦略論に活用
上記の法則に基づき、弱者と強者での取るべき戦略の違いを提唱
※ここでいう強者というのはシェア1位の企業のことを指し、
それ以外は弱者にあたる。
- 弱者の戦略=局地戦、接近戦を選ぶ/兵力の分散を避ける/敵に分散と見せかける陽動作戦をとる
※例)地域密着型、商品を絞る、対面を徹底し顧客の細かいニーズにもこたえる…etc
- 強者の戦略=一騎打ちを避け確率戦、遠隔的戦闘場面を作る/圧倒的兵力による短期決戦
※例)全国展開、総合的な商品ラインナップ、CM広告の大々的な投下…etc
ランチェスター戦略をビジネスの現場に活用する
ランチェスター戦略においては、弱者は下記を遂行し、
シェアを拡大していきます。
- 企業間の戦いはマーケットシェア率をめぐる戦いである
- 勝ちやすきに勝つ、勝ち目のないところで戦わない
- 小さくてもナンバー1になる、そのためにマーケットをセグメント分けする
- ナンバー1になったら、そのマーケットを起点にナンバー1の領域を拡大する
まさにシリコンバレーなどで、スタートアップがとるべき戦略と提唱されていることと
ほぼ同義であると言えるのではないでしょうか。
とはいえ、上記の思想は「言うは易き、行うは難し」であり、
「マーケットが存在しない商品は逆に売ることが難しく、
かつ、その商品が仮に成功したのであれば大手企業がすかさず参入してくる」
という状況との闘いです。
ベンチャー企業のマネジメント陣が考えるべきこと
ランチェスター戦略に従い、市場シェアを拡大するためのマネジメント陣が考えなければならないことは、
- 自社の強みを客観的にとらえ
- 勝ちやすいマーケットを選定
- 自社の戦力を選定したマーケット、商品に集中徹底
の3つです。
自社のマーケットをいかにとらえ、どこに勝負所を見定めるのか、
見えないものを見ようと思案し続けるのがマネジメント陣の仕事なのだと思います。
この記事へのコメントはありません。